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大吟醸

Author:大吟醸
PBMのブランクは5年くらい…遠ざかりすぎです。
空気の読めない子ですがどうぞよろしくお願い致します。

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【山虎PBM】プラリア「ウサギのぬいぐるみ」

イメージで書いてはみたものの、不幸設定ばんざーい。
アーリの過去はこんな感じです。
駄文ですが宜しければ追記からどうぞ。
山城マスターに送るときはちゃんと注釈つけよう…。

イラストはもうちょっと気力のあるときに一気に仕上げようと思ってます。
ついでにキャンギャルのアレも描きたいし(お?)

お名前使ってしまったミランダさん、セラフィムさん、ごめんなさい。
許可くださったマークPLの紅桃さんありがとうございました!
クルスさんとの話はsnさんのプラリア読んでからにしようと思ってますのー!!
****************************************************

「……お疲れ様」

 ヒーローTVLIVEを終えると、深夜、夜勤スタッフを残してTV局の職員達は帰っていく。
 私はいつものように、従業員用のシャワールームを使う。
 体のアザをみると複雑な気分になる。だがもうこれも毎日の儀礼のようなものだ。滅入ることはない。

 先日ミランダがセラフィム・アーチャーに助けられているのをみて、少しうらやましく思っている自分に気がついた。
 多分私は彼に憧れている。セラフィムの名前通り6枚の翼を持ち、ヒーローとして活躍する彼が、天使のように輝いて見えるから。
 ここに就職して、彼らヒーローと関われることはとても光栄に思っている。
 
 シャワールームを出て、仮眠室のベッドに入った。
 一応TV局の宿泊施設は少し離れた場所にあるのだが、私はあえてここを使っている。
 
 あの時から、ずっと。

*  *  *  *  *  *  *  *  *  *

 どんよりと厚い雲に覆われた曇り空。
 そんな日にあってもハイスクールの帰り道、私の足取りは軽かった。

 母からのメール。
 御馳走を用意して待っていてくれているという。

 そう、今日は私の18の誕生日―――


「母さん、アル、ただいま…」

 ……いつもなら真っ先に玄関まで走って出迎えてくれる幼い弟が、今日に限って来る気配が全くない。
 そして妙に……静かだ。
 こみ上げる不安にカバンを放り出してリビングルームへ向かう私は否が応にも足早になる。

 リビングのドアの前。
 ぬぐえない嫌な予感。

 覚悟を決めてドアを開ける。

 ―――ソイツと目が合った。

 ソファに横たわる弟は口にガムテープをされ、手足を縛られている。
 
 ……母は。

 道化の姿をした男に食われていた。
 人間のそれとは思えぬ巨大な口が、バリバリと並みの人間では食いちぎれぬその骨までをも喰らっている。

 血の気が引き、地面にペタンと両の膝をついた。
 頬を伝う涙の感触すらもうわからない。

「久しぶりだな、アーリ」

 すべてを食したところでニタリと笑みを浮かべ、血の滴るその口でソイツは言葉を投げかけてきた。
 私はようやく我に返り、横たわっている弟の捕縛を解いた。
 ……良かった、気絶しているだけだ。


「……クックックッ……お前らは生かしてやる。安心しろ」

 私の行動などまるで無視して道化はテーブルの上を見つめると独り言を紡ぎ続けた。

「……誕生日プレゼントか?私には用意もしない癖にな。駄母めが」

 男は口から滴り落ちている血を拭い、その手を私の頬に宛がう。

「私が生きるためのパトロンが必要なのだよアーリ。親父からの送金を俺の口座に送ってもらおう。私に逆らったら…」

 必死に弟を庇うように抱きすくめた。幼い頃からコイツには虐待を受けている。
 彼が13で家を出るまで母の留守の時には必ずだった。家出をしてからも、ときおり現れては暴行を受けた。
 告げ口すれば殺すと、脅されていた。年を重ねて、自分が死んでもいいと思うようになると今度は母や弟を盾に迫られた。
 コイツには叶わない……なぜなら……

 彼がNEXT能力者だから―――

 警察を呼んだところで返り討ちが関の山だ。フルメタル・ボディが来てくれる可能性など万に一に等しい。

「……なんで…なんで母さんを殺したの……」

 背中を三度ほど蹴られたところで、やっとの思いでそれだけ言葉を吐き出すことが出来た。
 まだ9歳の弟は私の腕の中で恐怖に震えている。
 
「言っただろう?金が要るんだ。駄母がよこす訳がない。お前への、勧告だよ」

 それでも、私が素直に首を縦に振らなかったことに業を煮やしたのだろう、無理やり弟を引き剥がした。

「次はこいつが犠牲になるぞ?クク……」

「やめて!もうわかったから!言うとおりにするから……アレスを……離して」

 そして、彼に…屈服した。


 結局、人質として弟はアイツに…兄に連れて行かれてしまった。
 ぽつんと取り残された私は、頭が真っ白なままテーブルの上にある1メートルほどの煌びやかなプレゼント袋の赤いリボンをほどいた。
 
 中身は……大きなウサギのぬいぐるみ。

『今年もぬいぐるみでいいかしら、大きくてかわいいやつ買ってあげる』
『もー……私もう18なんだから……』

 そんな母とのやり取りを思い出すと、涙があふれてくる。

 私はその日、とうとう泣きつかれてぬいぐるみを抱きしめたままソファで、眠ってしまった。

*  *  *  *  *  *  *  *  *  *  

 父は仕事に夢中で、もう何年も家を空けている。
 だから、家には羽振りのいい金だけが送られてきた。
 
 その送金がすぐ引き出されていたことに気がついたのだろう、数年ぶりに、父から連絡があった。
 私は、兄が金を欲して取りにきたことだけを告げた。父はアイツが不良で家を出たくらいの認識しかない。
 むしろ、家のことには一切無頓着だ。
 
 結局社会的な手続きの際に母がいないことはばれてしまい、行方不明という扱いになった。
 
 
 あれから私はゴールドステージに父が用意したマンションで一人暮らしをする事になった。
 ブロンズステージは治安が悪い、娘一人おいておけない、という事らしいのだが、だったら家に帰ってこいと文句をつけたい。
 その後、兄からいつでも殺せるという脅しの伝言と共に弟が帰されたのだけは救いなのだが。

 カレッジには進学したが、父のその施しが嫌で、大学に通いながらヒーローTVの会社、OBCでバイトを始めた。
 過酷なTV局という職場をそれでも選んだのはヒーローに救われたいという気持ちからだった。

 卒業後はアナウンサー試験を受けて女子アナとして、改めてヒーローTVに就職した。
 仕事の際、ファンデーションで体のアザを隠すのも、もはやお手の物となってしまったのがなんだか悲しい。


 一人でいることが寂しかった。
 バイトをしていた私は付き合いが悪いと、カレッジでは友達もできなかった。
 学生だから帰れと言われてもTV局によく泊り込んでいた。ここならば24時間誰かしらは居るから。
 それは就職した今も変わらない。

 ……もう一つだけ変わらないことがある……。

*  *  *  *  *  *  *  *  *  *
 
「あれ、仮眠室誰か寝てるんすか?」
「アーリじゃない?あの子昔から良く泊まってるみたいだし。忙しくなりそうだからついでに起こしてきて」

 ヒーローTVでは敏腕プロデューサーとクルーのマークが新たな事件を受けて早朝から動いていた。

「おーい…アー……」

 マークは途中で思わずその言葉を切った。簡易ベッドで眠っているアーリは……子供のようにウサギのぬいぐるみを抱きしめていたから。

「あの…プロデューサー、もう少しだけ寝かしてやってもいいですかね……」

 バツの悪そうな顔をして、見てみぬフリを決め込んだ男は後ろ手にドアを閉めた。

 あの事件以来、アーリはぬいぐるみがないと眠れなくなってしまったのである。
 マンションには母親から毎年贈られていたぬいぐるみが家族として所狭しと並んでいることは彼女以外知らない事実だ。
 
 たくさんのヒーロー達に囲まれ、今では少しばかりだが知り合いも増えた。
 尊敬するイレーヌも、同僚のマークもミランダも大切な仲間だ。
 だが、兄の恐怖に、未だ彼らに救いの手を求めることは出来ないでいる。
 

 ……今はこのウサギだけがアーリ・サマーレインの味方なのだ。
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